『プログラミングの秘訣…』【デジタルプロフェッショナル学科】

前回からの続きです。

「プログラミングに秘伝の方法があります。
 本校でそれを教えてあげられます。
 面倒なデバッグ作業とはおさらばです。」
と、私からはとても言えません。
私の知るデバッグ作業とはどこまでも地味な作業で、
ほふく前進のように、目標にじりじりと近づいていく作業です。
一気に快適にデバッグする方法も、
自動でエラーを直してくれるツールも、寡聞にして知りません。
新人時代に先輩に「エラーが出ているんですけど」と
自分のパソコンの画面を見せた時に、
すごいデバッグのやり方を見せてくれるものと期待しましたが、
「どれどれ」と言って、先輩が始めたデバッグは
がっかりするくらい地味なものでした。

やや明るい見通しを申し上げるなら、
何度もエラーを出して痛い目に遭ううちに、
単純なエラーを減らすことができるようになります。
オートコンプリート機能を使ってキーボードでの入力をなるべく減らす、
閉じかっこは先に書いておく、
インデントを合わせるなどのコツも覚えていきます。
一つ一つブレークポイントを作って、
「ここまではエラーなく通る」「ここから先でエラーになる」と
問題の切り分け方も学んでいきます。
一から作らないで、実績のあるものをコピーしてから作るのも鉄則です。

どんなに経験を積んでベテランになっても
エラーがないプログラムをいきなり作ることはできません。
バグを直す作業を避けることはできません。
ただ、デバッグ作業を含めてプログラミングは楽しくもある、
ということを、学校で経験してわかって欲しいと思います。
苦労した分だけ、エラーが出なくなったときの喜びも大きいですし、
なにより、プログラミングの作業は、夢中になれるものです。
一人の世界に入り込むと、周りを忘れて時間の経過を忘れます。
知らないうちに夜中になっていたりします。
その感じをぜひ体験してほしいです。

趣味やプライベート、独学でのプログラミングでは、
なかなかその体験ができません。
バグは本質的に障害であり苦痛なので、逃げ道があるなら、
逃げてしまいたいのが人間の自然な性向だからです。
学校や仕事で、なかば強制されるから仕方なくやる、
でも、仕方なくやっているうちに、
いつの間にか面白くなってくる、そんなものなのだと思います。
なんだか悲しいですが。